【感想】伊坂幸太郎『AX』-最強の殺し屋が恐れるもの、それは・・・。-
こんにちは。こなびすです。
今日は伊坂幸太郎の小説の「AX」(アックス)についての感想です。
殺し屋が主人公の小説なのですが、これはシリーズ3作目です。
実は、1、2作目はまだ読んでいないです。でも、この作品を読み終えて、非常に面白かったので、1、2作目も読もうと思い、すぐポチりました。
最強の殺し屋が最も恐れるもの、それは、彼の妻です。
極道の妻的な女性を想像している方もいるかもしれませんが、全く違っていて、彼の妻は一般的な女性です。息子も一人います。
裏の仕事である殺し屋のことは家族には隠していて、表向きは文具屋の営業という仕事をしているのです。
家族愛に溢れた、いい小説でした。
内容(「BOOK」データベースより)
「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐために仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。物語の新たな可能性を切り拓いた、エンタテインメント小説の最高峰!
感想
伊坂幸太郎の殺し屋シリーズの1、2作目も存在は知っていたものの、殺し屋っていう設定のためになんとなく敬遠していました。
でも、ツイッターでこの作品の読了ツイートなんかを読んでいて興味を惹かれて買ってみたのです。
結果、正解でした。
最強の殺し屋。「兜」が主人公です。
素手での格闘がめっちゃ強いです。
殺し屋っていうと銃で戦うイメージがあったのですが、銃での攻防はないこともなかったですが、描写としては少なかったです。
あと、戦闘シーンも多いのかなとも思いつつ読んでいたのですが、案外そうでもなかった気がします。
が、家族との日常の描写あってこその戦闘シーンだなと思いました。ゆるやかな日常から一転して、一気に緊張感が高まるシーンがあったり、ストーリーの中で、戦闘がいいスパイスになっています。
殺し屋の一面と、そうではない、温かい普通の夫であり、お父さんという一面のギャップがいいです。
裏の仕事をする時は人の命を何とも思わない冷酷と言える性格が前面に出ていますが、とはいえ、本質は温かい家族を愛する人なのかなという気がします。
小さい時から悪事を働き、人の命も数知れず奪ってきた人生ですが、足を洗うために、裏の仕事を続けなければなりません。
彼が働くことによって既得権益を得ている人がおり、彼に辞められるというわけで、簡単にはその業界から去ることはできないのですね。
そんな中で、人の命を散々断ってきたけど、彼は妻と息子と幸せに暮らしたい思いも強く持っています。
人の命を断ってきた自分は普通に暮らすのは虫が良すぎるのかと。葛藤します。
死は覚悟してるけど、家族と生きたいという矛盾しているような感情がリアルに描かれていて、グッときます。
妻には頭が上がらず、気ばっかり遣っている姿は滑稽でおかしいですし、息子と接する姿にも愛に溢れています。
人を沢山殺してきた悪人である彼は、いつ命を断たれるかもしれないということを常に自覚しているためかもしれません。
読む中で彼に惹かれていき、彼の人柄に好感が持てる人は多いと思います。(殺し屋ですが。。)
また、この小説で「蟷螂の斧」という言葉がでてきます。
恐らくその蟷螂の斧の斧=AXがこのタイトルを表しているのだと思います。
私はそれがテーマとなっていると仮定して、その「蟷螂」は誰のことなのか、というのが気になって読み進めていきました。
最強である兜なのか、それとも兜と対峙する刺客なのか、はたまた何か別の勢力なのかなど。
あと、兜は格闘に精通していてめっちゃ強いので、見た目の描写はあまりないものの、身体は凄い筋肉がついているのは間違いないやろうなと思いながら読んでました。
家族には殺し屋という顔は隠しているけど、家族なら裸も見ているでしょうし、家族には何て言っているのかなとは気になりました。
ストーリー展開もテンポよく、一気読みできるほどハマり、最後まで楽しく読めました。
1、2作目も読んだ後、またここに感想を書くかもしれません。
本作、気になった方は読んでいただいて損はないかと思います。
毎度のことながらまとまりのない文章ですみません。。
では、今日はこの辺で。