【感想】岡嶋二人『クラインの壺』 -岡嶋二人の最終作である名作ミステリー-
こんにちは。こなびすです。
皆さん、「クラインの壺」(この小説のタイトルではありません)って聞いたことありますか?
物知りな方なら知ってるかもしれませんね。
知らない方でも、メビウスの輪なら知ってますか?
クラインの壺もそれと似たような概念です。
メビウスの輪を4次元にしたようなものが、クラインの壺と呼ばれるものだそうです。
(私はクラインの壷は知りませんでした。)
この小説を読み終わった後、そのタイトルの秀逸さに驚きます。
内容(「BOOK」データベースより)
200万円でゲームブックの原作を、謎の企業イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。美少女・梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の世界に入り込む。不世出のミステリー作家・岡嶋二人の最終作かつ超名作。
感想
いやー、楽しく読めました!
まず書いておきたいのですが、この小説が発刊されたのは1989年です。
この小説では、仮想現実がテーマの一つです。
仮想現実といえば、洋画でマトリックスとかインセプションとかもありましたね。
(私は映画も結構好きです!)
是非想像していただきたいのですが、
1989年というと、ゲームでいうとファミコンの時代です。
今のゲームと比べると、画像も粗くグラフィックも見るに堪えないレベルです。
VRも普通に市場に出ている現在であればすぐ想像できますが、そんな時代にこんな内容の話を思いつくのは異常だと思います。
驚愕の想像力です。
本作はSFという意味では、今となっては真新しいことは無いかもしれません。(とはいえ、小説の中のゲームは現代以上の科学レベルのものです。)
ですが、お伝えしたいのは、ミステリーとしても一級品ということです。
仮想現実の 設定だけではなく、とある事件が起きてからは特にストーリーも面白く、話に引き込まれると思います。
私は話の続きが気になって、会社の昼休みにも読んでいました。
ある登場人物の言葉「はじめのところから始めて、終わりにきたらやめればいいのよ」が、印象に残りました!