こなびすのピクニック

書評、体験談、考えの発信など  -No matter what the weather, we are together-

【感想】垣谷美雨「リセット」-人生やり直しできたら、誰でも想像したことがあるはず-

こんにちは。こなびすです。

 

垣谷美雨さんの小説「リセット」の感想です。

 

よくあるタイムスリップものの小説です。

 

時間を遡るとか、逆に未来に行くとか、時間がループするとか、そういう設定の小説が結構好きなので手に取って購入してみました。

 

人生に不満がある3人のアラフィフ女性が高校時代にタイムスリップしてしまいます。

彼女たちは高校の同級生です。

 

 

 

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主な登場人物

香山知子:

子供が二人いる専業主婦。経済的には上の下くらいの家庭。高校生時代の同級生の夫は男尊女卑の気が強め。そのため、常に自分を抑え、周りに気を遣って生活している。高校生の時には女優になるという夢を持っていた。外見は綺麗。

 

黒川薫:

独身のキャリアOL(役職は副部長)。典型的な優等生タイプで頭が切れる。身長が高く、痩せ型。服装の趣味はあまりよくない。保守的な家庭で育ったため結婚していないことを親から非難されている。

 

赤坂晴美:コンビニとスーパー銭湯でバイトをしており、小さなワンルームに住んでいる。高校時代に妊娠したため中退し、結婚したものの、当時の夫からDVを受け離婚。以前は水商売をしていた。

背が低く化粧が濃い。高校時代は典型的なヤンキー。

 

上記の3人は48歳で、高校時代の同級生です。

3人の視点が切り替わりつつ物語が進んでいきます。

 

 

感想

一日でイッキ読みしました。

 

もし人生をやり直せたら。

 

 

そんなタラレバは誰しも一度は考えたことがあるはずです。

 

 

この物語の主人公3名は現状に不満があり、人生に思い悩んでいます。

女優になっていれば、結婚していれば、金持ちと結婚できていれば等。

 

とあるいきさつで、彼女たちは高校時代にタイムスリップしてしまいます。

 

48歳から18歳へ。30年昔に戻ることになります。

 

中身は48歳のままです。

 

タイムスリップした新しい人生では、彼女たちは元の世界とは違う人生を歩もうと決意して、その道に邁進します。

 

中身が48歳、十分な大人です。

 

そのくらいの年齢になると、人生経験から心の機微等もある程度はわかるため、高校生時代の恋愛の上滑りした青臭い感じに白けたり、大人が子供になったら感じそうなことがリアリティを持って書かれています。

 

子供時代、まだ人生経験が豊富ではないからこそ楽しめた、そういうことも確かにあるかもしれないと思わされました。

 

 

また、彼女達が高校に戻った時に、大人だからこそわかる親の偉大さに気づく描写があったりします。

 

一度でも料理の味を褒めたことがあっただろうか、毎日作ってもらえるお弁当に感謝の気持ちを述べたことがあっただろうか、と。

 

読んでいて耳?が痛かったです。。

 

やってもらって当然だと、私も子供の時は思っていました。というか、毎日家事や料理をすることがどれだけ大変なことか想像すらしていなかったです。。

 

(いや、私は違った!親の凄さに気づいていた!という人もいるかもしれませんね。その方は素晴らしいです。)

 

これを読んでいる若い人がいれば、親が家事や仕事を毎日する大変さについて、少しでも想像を巡らして、是非両親に感謝を述べてあげてください!

 

 

 

彼女たちは、タイムスリップした世界でも大人になり中年になり、時を過ごしていきます。

 

40歳になった時には、彼女達は元の世界で48歳だったので合計で88歳生きていることになるんですよ? 

 

人生の超ベテランです。

 

そういうの、想像したら面白いですよね。

 

彼女達が、やり直した人生でどのような道を改めて歩むのか、元の世界に戻ることになるのか、はたまた、新たな人生にタイムスリップするのか等、どのような結末になるかは是非小説を読んでみてください。

 

 

自分がもし高校生に戻れたら、狂喜すると共に、時間を無駄にせず勉強するだろうなと思います。

そんな風に、もし20年後の自分を想像するとして、その時の自分が現在の年齢に戻れたら、狂喜すると共に無駄な時間を過ごさないようにするだろうなとも思いました。

 

何が言いたいかというと、未来を更に良くするために、今をしっかり生きようと思いました!

 

少しでもこの気持ちを持続させたいと思います。

 

そんな風に思わせてくれた小説でした。