こなびすのピクニック

書評、体験談、考えの発信など  -No matter what the weather, we are together-

【感想】芦沢央『罪の余白』 -妻に先立たれ、大事な一人娘も亡くした男はどうなってしまうのか-

こんにちは。こなびすです。

 

今日は芦沢央さんの「罪の余白」の感想を書きます。

愛する妻を失い、それだけでなく、残った大事な一人娘も失ってしまう。

 

自分がそんな状況になったらと考えると辛すぎます。。。

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以下、紹介文の引用です。 

 内容(「BOOK」データベースより)
どうしよう、お父さん、わたし、死んでしまう―。安藤の娘、加奈が学校で転落死した。「全然悩んでいるようには見えなかった」。クラスメートからの手紙を受け取った安藤の心に、娘が死を選んだ本当の理由を知りたい、という思いが強く芽生える。安藤の家を弔問に訪れた少女、娘の日記を探す安藤。二人が出遭った時、悪魔の心が蠢き出す…。女子高生達の罪深い遊戯、娘を思う父の暴走する心を、サスペンスフルに描く!

 

感想

主人公の安藤は心理学者で大学で講師をしています。

 

娘が転落死した理由が何なのか、事故だったのか、それともいじめの事実があったのか、それを求めて安藤は真相を探っていきます。

 

一方で、加奈の転落死に関わる同級生の咲は、安藤に真相を知られてはならないと行動します。

咲は美少女で芸能界デビューする夢があります。

クラスのヒエラルキーのトップにいるような子で、狡猾と言えるほど非常に頭も良く、冷徹で超自己中心的でもあります。

真相が明るみに出るとその将来が閉ざされてしまうため必死になります。

 

安藤 vs 咲の構図となるのですが、他の登場人物もうまい具合に絡み、それぞれの心理描写が秀逸です。

 

そして、真相を求める中で娘の日記にたどり着いた彼に復讐心が宿ります。

 

彼は本来、とても優しく思いやりがある人です。

 

妻を病で亡くした後、生き甲斐は亡くなった一人娘の加奈だけでした。

表向きはいつも元気な女子高生。そんな彼女を心の支えにしていた彼に降りかかる悲劇。

憔悴仕切って、生きるのも半ば諦めたような彼の描写は読んでいて辛くなるほどのリアリティでした。

 

その彼が怒りを露わにする様子と、計画を進めている間は意識的にそれを表に出さず、冷静で、客観的に自分をコントロールする様子が恐ろしかったです。

 

そして、彼の意図を知った後の、自己保身しか考えていない咲がどのような行動を取るのか、どのようなラストになるのか、気になって一気読みしました。

 

個人的には、咲は自己中心的過ぎで、行無茶苦茶な行動するなぁという感想でした。

追い詰められたらそこまでするんかいっていう。。

 

実際にありえなくも無いリアリティがあって、ストーリーも登場人物も非常に深く考えられているなぁという印象です。

 

また、ストーリーに観賞用の魚のベタが話の中によく出てきます。

私はこの作品を読むまでベタを知りませんでした。

綺麗そうなので実物も見てみたいとも思いました!