こなびすのピクニック

書評、体験談、考えの発信など  -No matter what the weather, we are together-

【感想】西加奈子『i(アイ)』-想像することは寄り添うこと-

こんにちは。こなびすです。

 

今日は西加奈子さんの『i』という作品の感想を書きます。

 

私は5月に入ってからは本作の著者である西加奈子さんの本ばかり読んでました。

ハマるきっかけになったのが、この『i』という作品です。

 

内容説明に「心揺さぶられる」と書かれていますが、その通りでした。

心地よい余韻も残る名作です。

 

 

  

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 内容(「BOOK」データベースより)

「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる、ある「奇跡」が起こるまでは…。西加奈子の渾身の「叫び」に心ゆさぶられる傑作長編。

 

 感想

主人公はワイルド曽田アイという名前です。ご想像の通り、生粋の日本人ではありません。

 

彼女はアメリカ人の父ダニエルと、日本人の母綾子の娘ですが、

彼女はシリアで生まれ、生後間もない時にその両親の養子になりました。

 

そして、幼少期はアメリカで生活していましたが、父親の仕事の関係で日本に移住することになるのですが、この小説は、彼女が子供から大人になるまでの半生の物語です。

 

両親は経済的にとても裕福で、アメリカに住んでいた時はお手伝いさんを雇っているくらいです。

そして何より、二人とも人間的に非の打ち所が無いような人です。

 

お手伝いさんは経済的に厳しい人だったため、母親は服をあげたり(それにしても彼女は「もらってもらう」という言い方をします)、外国で災害が起こった際には多額の寄付をするような善意溢れる人です。

 

アイはシリアという貧困に苦しむ人が多くいる厳しい国で生まれながら、最高に恵まれた環境に移ったわけです。

 

両親は養子であることなど気にせず、アイを迎え入れた時から自分達の子だと、愛情を持って育てます。

 

ただ、アイはその状況を素直に喜べずに悩み、苦しんでしまいます。。

 

 

なぜかというと、自分はどういうわけか養子の時に選ばれて恵まれた環境に来たけれど、もし自分でなかったなら、今苦しんでいる別の子が両親の元に来たわけで、どうして自分が選ばれたのか、どうして自分がこの恵まれた環境を享受することになったのかと、罪悪感を持ち始めます。

自分が幸せになったばかりに選ばれなかった人は大変な生活をしているかもしれないと。。

 

どんだけ優しいのでしょうか。優し過ぎです。

 

いい子過ぎる上に頭も良すぎて、尋常じゃないくらい想像力が豊かなのです。

 

そのため、自分から欲しい物をねだったり、わがままを言うことなく育ちました。

 

彼女は物静かな性格です。

自分からは心を開かず、同級生等含め周りの人がもし自分の家庭より豊かでないと罪悪感を持つため、自分と同じように裕福であれば安心するという思いを持っています。

 

恵まれていることに対して罪悪感を持つことも、恵まれていない人からすれば非常に贅沢な悩みであることも理解しています。そのため更に罪悪感が募るという負のスパイラルです。

 

また、見た目も日本人とは異なり、両親とも血のつながりがないことにも悩み、常にコンプレックスに苛まれています。

 

10代という素晴らしい時代、恵まれた環境にいながらそんな風に考えてしまう優し過ぎるアイに同情してしまいます。

 

そんな中で、日本で高校生になったときに、一人の同級生ミナと出会います。

人生で初めての親友です。

そのミナが快活でとてもいい娘で、アイは彼女と心を通わせるのですが、彼女がアイにとって大きな存在となります。

 

この小説では、実際にあった災害、阪神大震災やニューヨークのテロ等も話として出てきます。

アイは死者が出るような災害をニュース等で耳にするたび心を痛めます。

同級生たちが学校で話題にしないような他国の事故や災害等でも心を痛めます。

 

そして、同様に考えるわけです。

その災害で被害を被ったのはどうして自分でなかったのかと。

自分と亡くなった人では何が違うのかと。

 

心を痛めたり感じることは人それぞれだと思いますが、私の場合は、不憫だなとは思うもののアイのように、そこから先を考えることはあまりないなと突きつけられました。

 

そして、タイトルの言葉ですが、「想像することは寄り添うこと」であるということがとても心に響きました。

 

想像することの大切さを痛感し、そして自分の想像力の無さに気づかされました。

私はアイのように頭は良くないですが、 少なくとも少しは想像力を働かせてみようと思わされました。

 

 

感想を書くつもりが、大半が説明みたいになりました。。

 

良さを伝えたいという気持ちは凄く大きいのですが、正直、どういうところが面白かったのか言語化することは難しいのです。

(小説に限らず良い作品の良さを上手に伝えられる人が羨ましい・・・。)

 

深く考えさせられることは確かです。

 

いくつかの文章について、その場で反芻させられ数十秒考えさせられた箇所もあります。

 

小説全体としても物静かな印象ですが、物凄い情熱が燻っているような筆者の強い想いを感じました。

 

そして、このような作品を書くことができる西加奈子さんの想像力と人を想う心に感服しました。

 

この本と出会えて良かったです。また必ず読み返します。

 

 

 

【感想】服部まゆみ『この闇と光』-何も書けないですが、読んで欲しい名作-

こんにちは。こなびすです。

 

今日は、服部まゆみさんの「この闇と光」の感想を書きます。

 

とはいえ、何を書いてもネタバレになってしまいそうでほとんど書けません。

ネタバレになりそうなことは全て避けて書けることを書こうと思います。

 

前情報無しで読んだのですが、相当衝撃を受けました。

 

ネタバレできない系の小説も数々読んできましたが、この作品は個人的には衝撃度トップクラスですので、未読の方には是非読んでいただきたいです。

 

 

 

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 内容(「BOOK」データベースより)

森の奥に囚われた盲目の王女・レイアは、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられた…はずだった。ある日そのすべてが奪われ、混乱の中で明らかになったのは恐るべき事実で―。今まで信じていた世界そのものが、すべて虚構だったのか?随所に張りめぐらされた緻密な伏線と、予測不可能な本当の真相。幻想と現実が混ざり合い、迎えた衝撃の結末とは!?至上の美を誇るゴシックミステリ!

 

感想

先に書いておくと、詳しいことは何も書けないため、いつにも増してしょうもない感想になると思います。

 

ただ、騙されたつもりで是非読んでいただきたい作品です。

 

私が手に取ったきっかけは、本屋でPOPがついていたからです。詳しい内容は覚えてないですが、「店員おススメで面白い」みたいな内容でした。

 

表紙の裏側を読んでみて、王女?レイア?とか、海外が舞台かと思い、その時はいまいち興味も持てなかったですが、手ぶらで帰るのもどうかと思ってなんとなしに買ってみました。

 

初読みの作家さんでしたし、面白くなかったら読むのやめたらいいかと思っていましたが、結果、大当たりでした。

 

正直な話、序盤は特に面白くもなく、淡々と読み進めていましたが、中盤以降一気にレッドゾーンに振り切り、そのまま一気読みしました。

 

 

衝撃でした。

 

 

何が衝撃かは勿論伏せます。

 

 

真相を知った時に、ただただ衝撃を受けました。まじか、って感じです。

 

 

ストーリーは書けないので、他に伝えたいことの一つに、文章が抜群に美しいことがあります。

 

私のような素人でもわかるくらい文章が綺麗です。

 

この作家さんは既に亡くなっているらしいのですが、かなり力のある作家さんだなと思いました。

 

とにかく、文豪感があります。

なので、拙い文章の作家を毛嫌いしている人は、心配せず読めると思います。

 

たまたま手に取ってこの本に出会えて良かったなっていう傑作です。

 

最後まで読んだ人は間違いなく驚いたと思うので、その人と語り合いたい度がかなり高い名作です。

 

気になった方は是非読んでみてください。

 

 

【感想】秋吉理香子『絶対正義』-融通の利かない正義にイライラしっ放し -

こんにちは。こなびすです。

 

今日は秋吉理香子さんの小説「絶対正義」の感想です。

 

正義を絶対的に信じ、実行する高規範子という名の人物が登場します。

 

例えば、法定速度が時速30kmの道路で、35kmで走行しただけで咎められるってどうでしょうか?意図的に違反しようとしていたわけでもないのにです。

本来は30kmを守るべきなのもわかりますが、でも…って感じです。

 

彼女の周囲の人物は彼女のおかげで、翻弄され、人生が悪い方向に向いていきます。

 

 

 

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 内容(「BOOK」データベースより)

由美子たち四人には、強烈な同級生がいた。正義だけで動く女・範子だ。彼女の正義感は異常で、法から逸れることを絶対に許さない。由美子たちも、やっと掴んだ夢や恋人との関係、家族までも壊されそうになり…。このままでは人生を滅茶苦茶にされてしまう!追い詰められた四人は範子を殺した。五年後、死んだはずの彼女から一通の招待状が届く!

 

 

感想

前述の範子に、正義を守る人間に終始イライラさせられました。

 

正義の味方ではあるのでしょうけど、人間らしい思いやりや優しさが無いとなんとムカつくことか。

 

彼女が言うこと、行うことは全て正しいです。

法律の通り、規則の通り。

 

間違ってはないです。

だから周りの人間も反論もできず、追い込まれていきます。

 

例えば、こんなエピソードもあります。

 

学校内で煙草を吸っていた生徒数名を、怖いけれども生徒から慕われている先生が見つけます。

 

詳細は端折りますが、生徒らを思いやりのある言葉で諭して、反省させて煙草だけ没収します。

 

温かいエピソードなのです。

 

生徒たちも反省しているし、本来ならめでたしめでたしです。

 

と思いきや、警察が校内に来ます。

 

目撃していた範子が電話したのです。

 

で、その様子を告げるわけです。

警察も事を大きくする必要もないと判断しますが、範子はそれも不服です。

 

後日、範子は教育委員会にその事実を告げ、学校側は法律違反を学校ぐるみで隠蔽したとして罪を追求され、結果、その先生だけでなく校長も学校を去ることになります。

 

注意した先生は退職間近のお爺さん先生で、そのおかげで退職金も受け取れずです。。

完全に同情します。

 

 

 

法律に対する意識の高さなど、範子は間違ってはいないのでしょう。

でも、全く優しくはないですよね。

 

そんな感じのエピソードが「多々」盛り込まれていて、彼女の友人だった人間達が彼女を憎んでいくことになります。

 

人の気持ちは全く考慮せず、法律第一。

タイミング云々も全く配慮無しのため、ほんの少しの間だけ見逃す、ということもしません。

常にボイスレコーダーやカメラも持ち歩き、裁判でも勝てるように、確実に罰するために、証拠もしっかり押さえます。

 

 

世の中、正しいことが人間にとって一番ではないなって考えさせられました。

 

ストーリー自体は、死んだはずの範子から招待状が届くところから始まるミステリーです。

彼女にどのように翻弄され、彼女をどのように殺害するに至ったか、はたまた、その彼女から招待状が届くとはどういうことか。

ストーリー展開も面白く、先が気になり引き込まれると思います。

 

秋吉さんの作品を読むのは初でしたが、面白かったので、他の作品も読んでみようと思いました。

 

正義に負の面があるのかわかりませんが、別の側面を見せられた感じがしました。

 

人間、正しさだけではダメです。

 優しさは必要ですね。

しみじみ思いました。

 

【感想】伊坂幸太郎『終末のフール』-人類滅亡確定時、人は余生をどのように過ごすのか-

こんにちは。こなびすです。

 

久しぶりの更新です。

緊急事態宣言後に基本的に在宅勤務になったのですが、残業多めです…。

 

今日は伊坂幸太郎さんの「終末のフール」の感想を書きます。

 

コロナで暗いニュースばかりの中、人類の終末も可能性としてはあり得るのかなとも思い、地球滅亡の3年前が描かれているこの作品を再度読んでみようと思いました。

 

余命3年だとしたら、皆さんは残りの時間をどのように過ごしますか?

 

  

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内容(「BOOK」データベースより)

八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。

 

 

感想

この作品は短編集で、それぞれ主人公が異なりますが、舞台は同じ地球滅亡3年前の仙台での話です。

 

コロナで仮に世界の終末になったらこんな状況になるんだろうか、などと考えながら読んでました。

 

この作品では、小惑星の衝突により人類の滅亡が確定しています。

 

人類滅亡が確定したニュースが流れた直後は、世は大荒れに荒れ、殺人、暴力、強盗など含め、何でもありの世の中となります。

警察もほぼ機能しなくなります。

警察も職業の一つなので、やってられないと思う人も多いからですね。

 

その数年後の小康状態の間の話です。

 

絶望して自殺する人、一家心中を図る家族、ヤケになり暴力に走る人などがいる一方で、何も変わらず生活し、余生を出来るだけ幸せなものにしようとする人も多くいます。

 

政治家や警察などだけでなく、スーパーの店員さんも一部の使命感ある人だけが残っている状況なのです。

(今作に登場するスーパーの店長は自衛のために猟銃を手元に持っていたりします。食料品店などは真っ先に強奪の対象となったからです。)

 

あと数年で死ぬことがわかっているから、公務員等も含め、多くの人は働く必要もないと思っているわけですが、その気持ちもわからないでもないですよね。

 

 

そんな中でも、作中でインフラは稼働していましたが、現実ならそれも怪しいだろうし、どうなるんだろうなと思いました。

 

印象的だったのが、一人で変わらず鍛錬を積むキックボクサーのチャンピオンです。大きなタイトルマッチ前にそういう状況になったのですが、そのタイトルマッチの前と同様に状況に関わらず練習に練習を重ねています。

ストイックに練習する様がカッコ良かったです。

 

また、妻が妊娠して産むか産まないか悩む人や、新たな恋愛を求める人、大切な人を失った人、復讐を糧に生きてる人、など色んな人達が登場します。

 

世界の終末でも生き方は様々です。

 

私の場合は、事なかれ主義で争い事は嫌いなので、平穏無事に過ごしたいと思うだろうなと思います。

とはいえ、実際こんな状況になったら相当ジタバタして無駄にどこかに移動とかするかもなとも思いますが。

 

暗い世界の話ではありますが、必要以上に暗い雰囲気の作品でもありません。

 

というのは、伊坂さんの作品らしく個性的なキャラクターや軽快な会話も多く、終末の中でもゆるい雰囲気だったり、希望が見えるような感じもあるからです。

 

気軽に読めるし、人生とは何か、考えさせられる良い作品です。

 

【感想】伊坂幸太郎『グラスホッパー』-個性豊かな殺し屋達が登場する殺し屋小説-

こんにちは。こなびすです。

 

今日は伊坂幸太郎さんの殺し屋シリーズ一作目の「グラスホッパー」の感想を書いてみます。

 

自殺屋の鯨、ナイフ使いの蝉、押し屋の槿(あさがお)が主な殺し屋として登場します。

 

ナイフ使いは殺し屋としてもメジャーなイメージですが、自殺屋とか押し屋とかユニークな専門の殺し屋ですよね。

 

伊坂さんの小説らしく、相変わらず飽きさせない展開でした!

 

 

内容(「BOOK」データベースより)

「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説。

 

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感想

相変わらず、テンポのいい展開で読みやすかったです。

 

亡き妻の仇打ちを企む鈴木(一般人)と殺し屋達がどうのように絡み、最終的に誰が生き残るのか、が気になると思うのですが、シリーズの後の作品を先に読んでいたため、そっちに登場している人物は生き残るとわかっていたので、面白さが半減してしまいました。。。

 

やはりシリーズ系は順番に読むに越したことはないなと改めて思いました。

 

とはいえ、一般人の鈴木が押し屋を尾行する時にどう行動するのか、とか、殺し屋達に接触した時にどうなるのか、とか殺し屋同士の戦闘は発生するのか、とか気になる展開が目白押しです。

 

で、鈴木の亡き妻は、鈴木の回想にしか登場しないのですが、彼がその妻を想いながら行動するのが個人的にはポイント高かったです。

 

鈴木と妻が出会った時の描写もあって、ほっこりできたり、また、妻の口ぐせ「やるしかないじゃない」が印象深かったり、既に亡くなっている存在ですが、なんか明るいキャラクターで存在感がありました。

 

一方の鈴木はというと、平凡だなという印象です。

 

主人公格ですがあまり印象に残っていません。いい人、というくらいですが、周りの登場人物を引き立たせるためなんでしょうね。

 

あと、蝉の仕事の斡旋役の岩西もユニークでした。彼はジャック・クリスピンという人物を敬愛していてジャック・クリスピンの言葉をよく引用します。正に蝉のようにうるさくよく喋る蝉との掛け合いが見ものです。

 

ちなみに、自殺屋の鯨は、役柄的に暗い感じがして好きになれなかったです。。

(好みの問題だと思います。)

 

依頼を受けて、相手を自殺させるという殺し屋なんですが、自殺に見せかけるわけではなくて自ら自殺に向かわせることができるのです。。

(どういう技術でそうさせるのか気になる方は読んでみて下さい笑)

 

彼の屋号「鯨」は高身長で体格がよく、でかいのが由来です。

彼が戦う場面もあるんですが、常人離れした身体能力と体格もあるし、普通にそっちを専門にした方がいいのでは、とも思いました。。

 

車道や線路に押し出して相手を殺す、押し屋については、周りに気づかれずに実行するのは、率直にタイミングが難しすぎるやろうと思いました。

技術があるんでしょうねぇ。

 

なんか主な登場人物それぞれにコメントしてしまいました。

 

登場人物みんな個性的ですが、そのキャラ設定とストーリーがいい感じにマッチしています。

 

殺し屋が複数いるだけに人もちょいちょい死ぬので、爽やかで明るい小説ではないですが、安心して読めるアクション映画っぽい雰囲気のエンタメ小説です!

 

 

【感想】伊坂幸太郎『マリアビートル』-新幹線を舞台に殺し屋が入り乱れる!-

こんにちは。こなびすです。

 

今日は伊坂幸太郎さんの殺し屋シリーズの2作目「マリアビートル」の感想です。

 

シリーズ3作目の「AX」から読み始め、面白かったので、次にこのマリアビートルを買ってみました。

これはこれで、AXとは違った面白さがありました!

魅力的で個性的な殺し屋達が登場します。

 

疾走感がある展開で、一日でイッキ読みしてしまいました笑

 

 

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内容(「BOOK」データベースより)

幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利き二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する――。小説は、ついにここまでやってきた。映画やマンガ、あらゆるジャンルのエンターテイメントを追い抜く、娯楽小説の到達点!

 

感想

ほぼ新幹線の中だけで話が進みます。

 

息子の仇討ちとして、元殺し屋の「木村」は中学生の「王子」を狙い、気弱で運が悪い殺し屋の「天道虫」は、別の殺し屋のペア「蜜柑」と「檸檬」が闇社会の大物の依頼を受け入手した荷物を狙います。

 

更に別の殺し屋達なんかも登場し、この新幹線の中は何人の殺し屋がいるんだとおっかない状況になります。

自分が新幹線乗った時に、周りにそんなに殺し屋がいたらぞっとするなと思いながら読んでました。

 

新幹線の中なので、一般人に騒がれることがないように細心の気を配りながらそれぞれが行動します。

新幹線の中だけの展開で全く飽きさせず、これだけ読ませてくれるのは凄いと思いました。

見事なストーリー展開です。

 

で、檸檬と蜜柑。彼らが個人的には一番好きでした。

檸檬は気性が荒いタイプで、機関車トーマスが好きで、トーマスのキャラクターの説明だったり、作中の台詞などを引用します。

彼のおかげで、トップハム・ハット卿とか、耳に残るキャラクター名も覚えてしまいました笑

 

一方で、蜜柑は冷静沈着、文学を愛しており小説などをよく読んでいます。

 

2人はお互い凄腕であるものの、性格は正反対で相性が悪いように見えて、実は、根っこの部分で認め合ってて、双子のように相性がいいのが良かったです。

 

で、王子。

彼は中学生ながら狡猾で、人が傷つこうが死んでも何とも思わないような悪意の塊みたいな人間です。

表面的には美男子でいかにも真面目な優等生タイプを演じています。

そして、自分が楽しむために、周りをひっかきまわすのですが、頭が良すぎるだけにタチが非常に悪いんです。

 

読み進めていく中で、殺し屋達を応援し、早く彼に制裁を加えてやってくれと願わずにはいられませんでした。

 

木村が息子を想う気持ちや彼の人間関係、天道虫のありえないほどの運の悪さなど、他にもいろいろな要素が絡み合って、どんどん話が交錯していきます。

 

誰がどのようにして、生き残り、はたまた、やられるのか。

先の展開が気になります。

 

グラスホッパーは映画化されていたみたいですが、これは映画化されてないんですかね。こちらの方が映画で観たい気がしました。

 

ちなみに、マリアビートルの後にシリーズ一作目のグラスホッパーも読んだので、またの機会に感想を書こうと思います。

 

読んで頂き有難うございました!

 

【感想】伊坂幸太郎『AX』-最強の殺し屋が恐れるもの、それは・・・。-

こんにちは。こなびすです。

 

今日は伊坂幸太郎の小説の「AX」(アックス)についての感想です。

殺し屋が主人公の小説なのですが、これはシリーズ3作目です。

 

実は、1、2作目はまだ読んでいないです。でも、この作品を読み終えて、非常に面白かったので、1、2作目も読もうと思い、すぐポチりました。

 

最強の殺し屋が最も恐れるもの、それは、彼の妻です。

 

極道の妻的な女性を想像している方もいるかもしれませんが、全く違っていて、彼の妻は一般的な女性です。息子も一人います。

 

裏の仕事である殺し屋のことは家族には隠していて、表向きは文具屋の営業という仕事をしているのです。

 

家族愛に溢れた、いい小説でした。

 

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内容(「BOOK」データベースより)

「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐために仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。物語の新たな可能性を切り拓いた、エンタテインメント小説の最高峰!

 

感想

伊坂幸太郎の殺し屋シリーズの1、2作目も存在は知っていたものの、殺し屋っていう設定のためになんとなく敬遠していました。

 

でも、ツイッターでこの作品の読了ツイートなんかを読んでいて興味を惹かれて買ってみたのです。

結果、正解でした。

 

最強の殺し屋。「兜」が主人公です。

素手での格闘がめっちゃ強いです。

 

殺し屋っていうと銃で戦うイメージがあったのですが、銃での攻防はないこともなかったですが、描写としては少なかったです。

あと、戦闘シーンも多いのかなとも思いつつ読んでいたのですが、案外そうでもなかった気がします。

 

が、家族との日常の描写あってこその戦闘シーンだなと思いました。ゆるやかな日常から一転して、一気に緊張感が高まるシーンがあったり、ストーリーの中で、戦闘がいいスパイスになっています。

 

殺し屋の一面と、そうではない、温かい普通の夫であり、お父さんという一面のギャップがいいです。

裏の仕事をする時は人の命を何とも思わない冷酷と言える性格が前面に出ていますが、とはいえ、本質は温かい家族を愛する人なのかなという気がします。

 

小さい時から悪事を働き、人の命も数知れず奪ってきた人生ですが、足を洗うために、裏の仕事を続けなければなりません。

 

彼が働くことによって既得権益を得ている人がおり、彼に辞められるというわけで、簡単にはその業界から去ることはできないのですね。

 

そんな中で、人の命を散々断ってきたけど、彼は妻と息子と幸せに暮らしたい思いも強く持っています。

 

人の命を断ってきた自分は普通に暮らすのは虫が良すぎるのかと。葛藤します。

 

死は覚悟してるけど、家族と生きたいという矛盾しているような感情がリアルに描かれていて、グッときます。

 

妻には頭が上がらず、気ばっかり遣っている姿は滑稽でおかしいですし、息子と接する姿にも愛に溢れています。

人を沢山殺してきた悪人である彼は、いつ命を断たれるかもしれないということを常に自覚しているためかもしれません。

 

読む中で彼に惹かれていき、彼の人柄に好感が持てる人は多いと思います。(殺し屋ですが。。)

 

また、この小説で「蟷螂の斧」という言葉がでてきます。

恐らくその蟷螂の斧の斧=AXがこのタイトルを表しているのだと思います。

 

私はそれがテーマとなっていると仮定して、その「蟷螂」は誰のことなのか、というのが気になって読み進めていきました。

 

最強である兜なのか、それとも兜と対峙する刺客なのか、はたまた何か別の勢力なのかなど。

 

あと、兜は格闘に精通していてめっちゃ強いので、見た目の描写はあまりないものの、身体は凄い筋肉がついているのは間違いないやろうなと思いながら読んでました。

 

家族には殺し屋という顔は隠しているけど、家族なら裸も見ているでしょうし、家族には何て言っているのかなとは気になりました。

 

 

ストーリー展開もテンポよく、一気読みできるほどハマり、最後まで楽しく読めました。

1、2作目も読んだ後、またここに感想を書くかもしれません。

 

本作、気になった方は読んでいただいて損はないかと思います。

 

毎度のことながらまとまりのない文章ですみません。。

 

では、今日はこの辺で。