こなびすのピクニック

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【感想】恒川光太郎 『ヘブンメイカー』 -極上のファンタジー シリーズ第二弾-


こんにちは。こなびすです。

 

スタープレイヤーに連なる長編小説の第二弾「ヘブンメイカー」についての感想です。

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前作と主人公は変わっており、2人の若者の視点から語られます。

 

孝平:高校生。バイクで事故にあい、目覚めたら死者の町にいる。

逸輝:大学生。例によって、怪しいくじ引きで1等を当て、10の願いを叶えられるスタープレイヤーとなる。

 

逸輝は己の理想の世界を思い描き、その願いを叶えようとします。

一方、孝平は一度死に、スタープレイヤーによって蘇らせられた存在です。

今作は恋愛要素もあり、願いのいくつかもそれに絡んできます。

 

逸輝は賢いけど、自己顕示欲や人より優位に立ちたいという思いが強めな印象を持ちました。でも、どんな願いも叶えられるという全能感があるから当たり前ですかね。。また、嫉妬したり、他にも人間的に未熟な部分も垣間見えます。

でも、基本的にとてもいい子なんですよ。

旅のお供として現地人の奴隷を買う件があるのですが、決して見下したりせず、友人のように扱います。

そのお供のレビは、忠誠心が非常に高くて、個人的には凄く好きです。

 

 

孝平はどこにでもいそうな好奇心旺盛な高校生です。思いやりのあるいい子です。

 

今回、スターボードの追加機能でそんなんできるんかい、ってツッコまざるを得ないようなのが出てきます。

それによってスタープレイヤーの無敵感が増してる感じがします。

 

 

相変わらずわかりやすく読みやすい文章で細部まで情景が想像できます。驚くシーンがあったり、手に汗握る展開で興奮させられたり、本作も冒険って感じで非常に面白いです。

 

ただ、主人公2人の視点から物語が進み、且つ、宗教や人種の話などに話が拡がっていくので、個人的には前作の方が、主人公に焦点が当たってて上手く纏まっていたかなという気もします。(これは完全に個人の好みだと思います。)

繰り返しますが、本作も間違いなく面白いし、私は好きです。

 

 

前作読んだ時も思ったけど、どんな願いを叶えれるとしても何でも上手くいくわけでもなく、仮に現実の世界でそういう能力が使えたとしてもきっと同じなんだろうなって思いました。

 

人間の欲なんて際限がないから、何でもかんでもできる能力を得るのではなくて、コツコツ努力して少しずつ成長して、何かしらの能力を得ていくくらいが丁度いいんでしょうかね。