こなびすのピクニック

書評、体験談、考えの発信など  -No matter what the weather, we are together-

【感想】北村薫 『スキップ』 -昼寝して起きたら25年経過してる…。-


こんにちは。こなびすです。

 

昼寝して起きたら25年経っていた・・・。そんなことが起こったらどうしますか?

 

今日は、北村薫の小説、「スキップ」のご紹介です。

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主人公は17歳の女子高生、文化祭が終わって家に着き、ひと眠りしたところ、見知らぬ部屋の中で目が覚めます。

戸惑っているところ、同い年くらいの見知らぬ女子高生がただいま~と帰ってきて、お母さん、と呼びかけられる。

旦那さんがいることも判明します。

数時間前まで17歳だったのが、一気に42歳になってるわけです。

こんな残酷な話がありますか・・・?

 

知らぬ間に他人と結婚して、娘までいる。思い出も何一つない。

女子高生がですよ。一番楽しい時期、友人やこれから出来るであろう恋人との青春を謳歌する時間をスキップされたわけです。

 

旦那さんや娘さんなど客観的にみたら、女子高生以来の記憶が抜け落ちてる記憶喪失だなと思ってるわけですが、そうではない。そりゃ理解するのは難しいけど、見た目は42歳でも間違いなく女子高生なのです。

 

彼女は戻れるかどうかわからない中、42歳の自身の職業である高校の国語教師として過ごすんですね。高校生が高校生を教えるという、考えられない状況です。

大人になって国語教師になっていて、しかもいい先生だったことから、素養はあったということですが、努力に努力を重ねていきます。

 

幸いだったことは旦那さんも娘さんも凄く思いやりがあり、聡明だったこと。

主人公が17歳であることを徐々に信じてくれます。

そして、旦那さんも高校の先生で、先生としてすべきことを教え、丁寧に導いてくれることです。

更に、42歳の彼女は人間的にも優しく味方も多く、生徒からも好かれています。 

 

それにしても、彼女は精神的に強すぎです。

絶望的な状況の中、立ち直ってないものの前に進もうという意志が凄い。その心意気にグッときます。

状況がそうさせたのかわからないですが、考え方も何もかもが大人です。

 

 あと、やはり恋愛のことを考えると凄く切ないです。好意を寄せる人は大体同い年くらいの男の子ですよね。まさに自身が教えている高校の生徒達などです。

青春を目の前で見せつけられるんですよ。恋愛したくても、見た目は42歳です。

切ないです。

 

彼女がどのように生きていくのか気になって一気読みしました。

とても面白い小説です。気になった方は是非読んでみてください。