こなびすのピクニック

書評、体験談、考えの発信など  -No matter what the weather, we are together-

【感想】瀬尾まいこ『天国はまだ遠く』 -自殺をしくじった女性が大自然と人の優しさの中、大切なものに気づく-

こんにちは。こなびすです。

 

今日は瀬尾まいこさんの「天国はまだ遠く」の感想です。

自殺にしくじり自殺することを諦めた女性が、自然の中で人の優しさに触れ、生きる活力を得て立ち直っていくという、心にしみる話です。

 

序盤は若干重いものの、ユーモラスな描写もあり、徐々に明るい感じで読めます。

最近、瀬尾まいこさんの本をよく読んでます。読みやすいしハマってます(笑)

 

 

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あらすじ(「BOOK」データベースより)

仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。

 

主な登場人物

千鶴

23歳の保険の営業をしていたOL。元は人から好かれる明るい女性でしたが、全てがうまくいかなくなり、生きるのに疲れてしまいます。素直で優しい女性です。

死ぬと決意したため、貯金の全額120万円を全て使い切ろうとしましたが、結局3万円程しか使えなかった欲もあまりない人です。

 

田村さん

民宿たむらを経営している30歳の男の人。細かいことは気にせず大ざっぱな性格ですが、料理も上手く、山奥で鶏を飼育し、田畑を耕し、釣りをして生活をしています。

 

 

感想

自殺を決意するくらいに、生きるのに疲れたというのは悲しいことです。

 

睡眠薬を飲む前に、彼氏に遺書代わりのメールをする場面があるのですが、そこに至るまでの葛藤等はリアルでした。

 

誰にも死ぬことを言わずに死んでいいのだろうか、家族にありがとうやさようならを言ったところで悲しませるだけだから言う必要はないだろう、あの友達に言えば、この友達にも言わなければならない、どの範囲にまで言えばいいのだろうか、みたいな。

 

そして、自殺をしくじります。予備の睡眠薬もないし、恐怖もあるので自殺を諦めます。

 

タイトルからも想像できると思いますが、そこから彼女は生きる活力を取り戻していきます。

大自然の中で優しい田村さん、村人に囲まれ、のんびりした時間の中で癒されていくんですが、なんか羨ましいなって思ってしまいました。

私も疲れてるんでしょうか…(笑)

 

その生活の中で、自分が好きなことや、都会で時間に追われる中では気づかなかったこと、自然の素晴らしさなど、改めて思い出したり、見出していきます。

 

そして、その生活は非常に好きで心地いいけど、だけど、彼女は自分の居場所はそこではなく、自分の生活を作っていかないといけないということに気づき、先に進むことを決意します。

もう休むのおしまいだ、と自らの力強い意志を持って新たな生活をすることを選ぶんです。

 

どん底から彼女が少しずつ脱皮をしていき本来の自分に戻っていく様、それ以上に、少しずつレベルアップしていくような姿が非常に爽快でした。

 

生き方に正解はないけど、自然の中で生きるっていう、本来の人間の生き方の例みたいな描写を目にして、生きる意味を考えさせられました。

 

またお気に入りの本が一つ増えました。

何回も読んでみたいと思わせる名作だと思います。

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