【感想】群ようこ『かもめ食堂』 -気軽に読める 北欧での癒し系物語-
こんにちは。こなびすです。
何も考えずにカフェでのんびりと、気軽に読めるような本を探している方にはおススメの一冊を紹介します。
本作の主人公、背が低めの30代後半の日本人女性サチエは、思い立ってフィンランドのヘルシンキで「かもめ食堂」を開きます。
現地の人からは東洋人は若く見えるようで、且つ、身長も低いので、近所の人達からは子供と思われ、食堂ができた当初はこどもが一人で切り盛りしているってことで、こども食堂って呼ばれてます。
最初はお客さんも来ない中、カタコトの日本語を話す日本かぶれの青年が常連となり、その青年が間接的なきっかけで、日本人女性ミドリ、マサコとも知り合いとなり彼女達は店を手伝うことになります。
サチエは優しく思いやりがある一方、芯はめっちゃ強い。
そして食堂のイチオシとしているおにぎりへの思い入れは凄く強いです。彼女が握ったおにぎりを何度食べてみたいと思ったことか。
常に心にも余裕がある感じで、こんな人がいれば誰からも好かれるんじゃないかという気がします。
あと、ありえないくらい運もいい。とにかく魅力的な女性なんです。
サチエ、ミドリ、マサコのフィンランドに来ることになったエピソード、彼女らの家族、食堂に来るお客さんとの絡み、ところどころ小出しで刺さります。
めっちゃ面白くてお腹を抱えて笑う感じではなくて、フフッと軽く笑顔にさせてくれるようなエピソードが多い物語です。
この小説は不思議です。なぜなら、物語なので波は勿論あるものの、非常にゆるやかです。でも、決して退屈することがない。
全体的にほんわかした雰囲気の文体で、めっちゃ読みやすい。
「癒し系」の一言。
それほどゆったりしているのに最後まで読ませてくれるのは、その辺りは、さすが群ようこの筆力って感じがします。
この小説を読んでフィンランドにも行ってみたいと思ったし、何より、もし存在すれば、癒しの空気が漂ってそうで、美味しい料理やコーヒーを提供してくれるかもめ食堂に是非行ってみたいなと思いました。