こなびすのピクニック

書評、体験談、考えの発信など  -No matter what the weather, we are together-

【感想】瀬尾まいこ『強運の持ち主』 -気軽に読める温かい占い師の話です-


こんにちは。こなびすです。

 

今日は瀬尾まいこさんの小説「強運の持ち主」のご紹介です。

小難しいことは抜きにして温かいほんわかした話に触れてみたい、そんな方にお勧めの一冊です。

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瀬尾まいこさんの本は、本屋大賞を受賞した「そして、バトンは渡された」を読んでからいくつか読んでます。(「そして、バトンは渡された」はめっちゃ好きです。)

ほんわかした話が多い印象ですが、ちょうど気軽に読める本が読みたかったところで、本屋さんに陳列されていたので買ってみました。

 

本作は、元OLのルイーズ吉田という怪しい名前の占い師が主人公です。

元いた職場の営業職で鍛えられた話術を活かして、ショッピングセンターの片隅で占いをしています。

また、人付き合いがめんどくさいから一人で商売できる占いを職として選択したという経緯もあります。

 

 

そんな彼女は、お客さんの悩みを聞き、相手の背中を押してあげることを第一に考えています。

また、トラブルにならないような無難な回答をしている印象です。

 

占いに関しては大いにインチキくさいです(本人も認めています)が、お客さんが少しでも幸せになりそうに、気分良く帰ってもらうように相手に寄り添った回答をしてあげてることから人間的にはいい人なんですよね。

もっともな内容をそれっぽく、今は○○な星の状態にあるから○○な行動をした方がいいとか、占いっぽく伝えるところはなかなか面白いです。

 

あと、占い師っぽい服装がどうだとか、外見をミステリアスに見せる云々も試行錯誤した結果も見えます。

 

基本的には適当ですが、思いやりもあるので憎めませんし、いいキャラしてるなぁって思います。

また、同棲しているぼーっとしている彼氏がいるのですが、その彼とのシーンもちょくちょく入ってきてアクセントになってるなと感じました。

その彼との付き合いもほのぼのとした感じです。

 

そんな中で、父と母どちらを選ぶべきかと悩む小学生や、占いが何度外れてもルイーズを訪れる女子高生や、物事のおしまいが見えるという関西人の青年などがお客さんとしてやってきます。

 

登場人物もみんな特徴的でユーモラスで、小説の中にゆったりとした世界観ができています。

 

この小説を読んでて、占いってトーク力が全てだと思いました。

トークで実際にお客さんを励ましたり、人生の方向性を示してあげたりして、20分で3000円という報酬を得ることができて、大したもんだと思いつつ、口が上手い人はやはり得やなとも思いました(笑)