【感想】七月隆文『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』 -爽やか!でも、超切ない恋愛小説-
こんにちは。こなびすです。
今日は七月隆文さんの「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」について書きたいと思います。
これまで色々な恋愛小説も読んできましたが、この小説は恋愛小説でトップ5に入るくらい好きです。
主人公は京都の美術系の大学に通ってる恋愛経験があまりない大学生の南山高寿(みなみやまたかとし)。
電車の中で1人の女性、福寿愛美(ふくじゅえみ)に一目惚れするところから始まります。
2人とも「寿」が入ってて、何ともめでたい名前ですよね。
全体を通して、高寿の心情が上手く描かれていてるのですが、初めて愛美に声をかけるシーンとか、最初からドキドキさせてくれます(笑)
デートシーンでの会話のやり取りはユーモラスで軽快です。
お互いラブラブで、スカッと爽やか、絵に描いたような甘い恋愛をしてます。
愛美が可愛いくて主人公が好きになるのもわかります。めっちゃいい子なんです。
でも、詳細はネタバレになるので詳細は書きませんが、彼女には秘密があります。
切な過ぎるんです。本当に。
泣きました。
明らかに泣かせる設定なのですが、そこに至るまでに、読者にところどころで違和感を残して、どういう秘密があるんだろうかと考えさせられます。
また、切なさを高めるような、ちょっとした小道具もいくつか出てきます。
ネタバレして書いてしまいたいのですが、この小説は全ての秘密を理解した上で、再読する時に更にグッとくると思います。
彼女の言動や表情の一つ一つ、行動の意味を理解しながら読むと、読むのを一旦止めて「あぁ…」という感じになります。
(語彙力なくてすみません…。)
本作は、メインの2人以外の周りの人も多少出てきますが、大部分のシーンは2人のみです。
2人の濃密な世界観にしっかり入れて、感情移入しやすいように、作者はそのようにしたのかなと個人的には感じました。
また、段階的に切なくなっていくストーリー展開がやるせなさ過ぎるんです。。
切なさが一気にドカンと来るのではなく、少しずつカウントダウンされていく感じです。
切なくて読み進めたくないけど、気になるから読むしかない、という状況に追い込まれること間違い無しです。
この切なくて、美しい恋愛物語を是非読んでみて下さい。
話のテンポもいいですし、一気に読めると思います。
大好きな小説です。この本に出会えて良かったなと思いました。