こなびすのピクニック

書評、体験談、考えの発信など  -No matter what the weather, we are together-

【感想】瀬尾まいこ『君が夏を走らせる』-子育ては素晴らしいと思わせてくれる-

こんにちは。こなびすです。

 

今年の梅雨は、とても梅雨らしく雨が多いですね。

梅雨は明けたら明けたでまた暑い夏ですし、早く秋になってほしいと思う今日この頃です。

 

今日は、瀬尾まいこさんの小説『気が夏を走らせる』の感想です。

 

不良の男子高校生が、1歳10ヶ月の赤ちゃんを夏の1ヶ月に渡り子守する話です。

赤ちゃん「鈴香」が可愛い過ぎます!

 

 

 

 内容(「BOOK」データベースより)

ろくに高校に行かず、かといって夢中になれるものもなく日々をやり過ごしていた大田のもとに、ある日先輩から一本の電話が入った。聞けば一ヵ月ほど、一歳の娘鈴香の子守をしてくれないかという。断り切れず引き受けたが、泣き止まない、ごはんを食べない、小さな鈴香に振り回される金髪少年はやがて―。きっと忘れないよ、ありがとう。二度と戻らぬ記憶に温かい涙あふれるひと夏の奮闘記。

 

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感想

 

スラスラ読めるし、面白かったです。そして鈴香が可愛いです!

 

数少ない言葉しか話せない1歳10ヶ月の鈴香を相手に、高校生の大田が奮闘します。

 

元不良の先輩から頼まれ、一ヶ月の期間限定のバイトとして子守をします。

 

オムツを変え、料理を作り食事させ、家の中はもちろん、公園に連れて行って遊んだり、寝かしつけたり。

 

鈴香はよく泣くし、よく笑うし、言葉としては「ぶんぶ」を連呼します。

 

会話でコミュニケーション取れないため、「ぶんぶ」で鈴香の気持ちを読み取らねばならないのです。

 

バイトとはいえ子守で日中の大半を過ごしてたら、親のような気持ちにもなりますよね。

はじめは面倒くさがっていた大田も、気がつけば鈴香のことを考えていたりと、鈴香との時間をかけがえのないものと認識していきます。

 

でも、バイトは期間限定であるがゆえに、離れたくなくとも終わりが来るのです。

 

 

その離れる時間が迫ってきた時の大田の気持ちがとても切ないのです。

 

残り1週間、3日、2日、1日、最後の日…のようにカウントダウンされるわけですが、残る日を鈴香のために幸せで楽しい日にしようとします。

 

まだ赤ちゃんなので記憶に残らないとわかっていてても、彼女のためを想う大田の行動は親と同等の愛があり、切なかったです。

 

子守期間が終わるとはいえ、二度と会えなくなるわけでもないし、少し離れたところから大田が鈴香の成長を見守り、以降もいい関係を続けてくれたらいいなと思わずにはいられませんでした。

 

 

ちなみに、それだけ鈴香のことを大好きになり離れたくない気持ちが募る大田ですが、誘拐してどうこうというような衝撃的な展開とかはありません!

 

少し前に角田光代さんの「八日目の蝉」を読んだので、少しそんな展開も想像してしまいました笑

 

私は子供はいないですが、子供が欲しいなと思わされました。

 

全編通して、言葉も行動もたどたどしい鈴香の可愛いさが目に浮かぶような描写がとても良かったです。

 

子育ての大変さだけでなく、その大変さを何倍も上回る子供が与えてくれる幸せが存分に表現されていました。

 

鈴香の可愛いさに癒されること間違い無しです!

 

気軽に読めて少し切なくなれる小説です。